| 潮渉の中国縁? |
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踊る中国語
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よく考えてみると、私が中学時代の印象を引きずっているのは、中学の中国語教師に関恩棋(Guan1 en1
qi2)という中国人の先生がおられたからでした。関先生はいつも丈の長い中国服を着ていて、ゆったりとおおらかな風格を漂わせておられました。
わが悪童仲間も他の教師(日本人)には、「ベアー」(熊)だの「グアズル」(中国語の瓜子儿:スイカやカボチャの種を炒ったおつまみ)だの「タンク」(戦車)などと仲間感覚で言いたい放題のあだ名をつけていたのに、関先生のあだ名はハッキリしたものがなく、「大人(タイジン)」と言っていたような気がするのですが、他に呼びようがなかったのです。
数年前、NHKのテレビドラマ「大地の子」で残留日本人孤児の養父役で出演していた中国の名優“朱旭”さんを観た時とっさに関先生を思い出しました。容貌がそっくりだと直感したのです。しかし断言はできません。なぜなら私の記憶力の悪さはすでに証明ずみなのですから……。そんなわけで、似ていると思ったのは、容貌ではなくて人柄だったのかも知れません。そういえば、先生のゆったりしたチャンパオ(長袍儿)姿は、なんとなく大きな包容力を感じさせるのでした。
さて肝心の学業の方で記憶に残っているのは、何よりも中国語の美しいメロディーで、もう一つは、その楽しみとは裏腹に注音符号の難しさでした。
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私はやがて不思議なことに気づきました。彼らの顔には目鼻がなくて漢字が書いてあるのです。「我」、「?」、「他」、そして「包米」、「点心」、「糖胡児」、まだあります。「当兵」、「打杖」。次から次へと出てきて、ぐるぐる私の周りを回り始めたのです。それがいつ終わったのか、私はいつの間にか寝入ってしまい、まるで覚えていません。翌日、私はぼんやりした頭で思い出しました。あの漢字(繁体字)は全て子供の頃に中国で覚えたものでした。
私は久しぶりに耳にした美しくて懐かしい中国語に触発されたのでした。そして長い年月をじっと耐えてきた彼ら中国語は、春を待って這い出る虫のように、この時機を待ちかねて躍り出たのだと思いました。その日の夜も彼らはまた現れ、目の前を賑やかに練り歩いてくれました。
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