澎湖島を出船すると、小さな島々が点在し海も日本では見ることのない藍色です。波もなく快適に走る船は、1時間位で望安島に着きました。ここで一部の乗客と貨物を卸し七美島に向います。七美に向うと、海の状態が変わり、少し浪が出てきました。普段釣り船で鍛えている私には丁度良い揺れです。
暫くすると、前に座っていた台湾人のオバサンが振り向き、話しかけてきました。“あんた、七美に何しに行くの?”、“ちょっと見に行くだけ”、“泊まるの?”、“いや、今日馬公に戻る“、”外国人?“、”日本人です“、”私も日本に行ったことがあるよ“・・・と話しているうち、おばさんは”七美に行ったらバイクを借りたほうがいいよ“と言いました。どうしてかな?と思いながら”俺、台湾の免許持っていないけど“と言うと、おばさんは笑いながら”七美なら大丈夫だよ、誰でも貸してくれるよ“などと会話をしていると暫くして、どうやら窓の傍の席だったので、気分が悪くなりそうだといって他の席に移って行きました。半信半疑でしたが、島に着き下船するとやっと理由が飲み込めました。
船から降りた人は、港の前に並んでいるバイクに群がり、そこにいるおじさんと話をしてお金を払うと、さっさと走っていってしまいます。家族連れは、お父さんが運転お母さんは後ろ、子供がハンドルと運転席の間に立っての3人乗りです。私は躊躇しながら港の前を行ったりきたりしましたが、バイク以外に交通機関はなさそうです、暫く思いあぐんでいるうちに誰もいなくなってしまいました。帰りの便は2時間後なので何もできず港の景色だけ見ているのも来た意味がないので、思い切ってバイクのおじさんに話しかけました。“バイク借りたいんだけれど!”するとおじさんは“1日か?”というので、“2時間”と答えると“150元、帰ってきたら此処に置いといて”と言います。
あっけに取られてお金を出すと、それを取ったきり別に他に何も言いません。これでいいのかなーと思いながらバイクに乗りエンジンを掛けようとしましたが、恥ずかしながら40年もバイクに乗っていないのと、昔乗ったときのものと全くタイプが違う(これはいわゆる原チャリ、私が昔乗ったのは本田のスーパーカブ、エンジンはセルスタートではなくて、キックでした)のでエンジンの掛け方が分かりません、仕方なくおじさんに“どうやってエンジン掛けるの?”と聞くとキーを動かしながらエンジンを掛けてくれました。こんな奴に普通は貸さないと思うけど・・・。これが本当に日本の貸し自転車より簡単に貸してくれるのです。そして代金は150元(日本円で500円ちょっと、ガソリンも入って)ですよ、信じられますか!!こうして親父(僕)はモタモタと港を後にしました。40年ぶりに乗るバイクは始めおっかなびっくりでアクセルを吹かしたり、ブレーキを掛けたりとぎこちない運転です。でもこの島では、殆どバイク以外は走っていないので本当に安全でした。暫く走ると、絶景ポイントに到着です。この頃になると運転も慣れてきて段々とスピードを出すようになりました。
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